
である。最も指摘率の高いのは、「やりたい仕事ができる」の27.8%であり、やはり仕事関連のメリットである「自分の経験を活かせる(21.9%)」、「自分の専門性が活かせる」も高い比率である。一方、「労働時間が短くなった(21.3%)」や「休暇が取得しやすい(18.3%)」などの労働負荷の減少を訴える声も大きい。逆に、「昇進昇格の可能性が広がった(10.1%)」、「自分の裁量の権限が広がった(10.7%)」は比率が低く、勤続年数と昇進や役職に与えられる権限がリンクしているケースが多い日本の企業社会においては、転職は大きなデメリットになっていると考えられる。
これを現在の勤務先の業種別にみると、卸・小売・商社等では、「やりたい仕事ができる」「自分の経験が活かせる」「自分の専門性が活かせる」といった、仕事に関するメリットをあげる比率が他の業種に比べて高い。また、ここでも製造は他の業種に比べて全般的にメリットの比率が低くなっており、転職したことへの評価が低い。
さらに、従業員規模別にみると、100人未満では労働時間や休暇の面でそれ以上の規模の企業に劣るものの、「昇進・昇格の可能性」や「やりたい仕事ができる」「自分の経験を活かせる」「自分の裁量の権限が広がった」など仕事についてのメリットを指摘する比率が、それ以上の規模に比べて高い。逆に300人以上では昇進や権限面でのメリットを指摘する比率が低い。
最後にUターン経験の有無別にみると、Uターン経験者は、「やりたい仕事ができる(29.9%)」や「自分の専門性が活かせる(15.4%)」といった点でUターン者以外よりもメリットを感じているものの、他の項目では、Uターン者以外の比率を下回る場合が多いという結果が得られた。
(立道信吾)
第4節 Uターン等をめぐる感想
この節では、大きく2つのことを明らかにする。第一に、新卒入社・中途入社にかかわらずUターン・Jターン・Iターン経験者(以下、Uターン等経験者と略す)
の基本的な特徴を明らかにする。第二に、Uターン等の動機や日常生活における不満や悩み、さらに、Uターンに際しての配偶者の意見や実際、Uターンしてみての配偶者の評価などを明らかにする。
1. Uターン等経験者の出身地
Uターン等経験者の出身地は「現在の居住地」が73.0%を占め、残りを「現在の居住地以外の道県」(16.3%)と「首都圏・名古屋圏・関西圏」(9.9%)が占めている(図表4-48を参照)。
こうしたUターン等経験者の出身地は入社の経緯ごとに特徴が見られる。Uターン等経験者の出身地が現在の居住地である比率は、首都圏等の学校を卒業し入社した者で8割強を占め最も高く、首都圏等の企業からの転職者、同県または首都圏等以外の学校を卒業し入社した者、同県ま
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